「凍害防御剤の有効性について」


 W-01
[投稿者 ハッシー様]

「クライオニクス論」の「Ⅲ-20」に記述があります凍害防御剤に関して、下記の2点について、特に凍害防御剤の脳細胞に対しての有効性を検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

(1)凍害防御剤は十分な量が血液脳関門を透過できるのか。
凍害防御剤に成分として含まれるエチレングリコールやグリセリンは、極性の高い水酸基を分子内に2~3個有する多価アルコールです。このように比較的に極性の高い分子は血液脳関門を透過しにくいので、凍害防御剤として十分な量の透過が難しいと思います。クライオニクスで重要になるのは、やはり脳細胞の保護ですが、血液脳関門の透過が困難な成分を使用していては、脳細胞内の氷晶の生成を阻止できないのではないでしょうか。

(2)仮に血液脳関門を透過できる凍害防御剤を調製したとして、それは無害な凍害防御剤か。

凍害保護剤として十分な量を透過させるとなると、1級アルコールなどの比較的に脂溶性の高いアルコールや、さらに脂溶性の高い有機溶媒を使用する事になると思います。しかしながら、脳はアルコールや脂溶性の有機溶媒に「最も弱い器官」です。凍害防御剤として十分な透過量の確保と無害であることの両立は、かなり困難に思えますが、どうでしょうか。

 
[投稿者 清永怜信]

ハッシー様、凍害防御剤の有効性に関する大変有意義な御投稿ありがとうございます。現在の凍害防御剤は血液脳関門(BBB)の通過性が不十分ではないか、また効率よく通過が見込まれる脂溶性溶媒は生物毒性が強いのではないかというご指摘です。御指摘頂いた内容はまさにその通りであり、凍害防御剤の開発改良は現在も続けられています。以下は清永の私見です。誤りがあれば御指摘下さい。

まず、生体組織におけるBBBの通過性に拘りますと、有機溶媒のような非極性溶媒が物性としては有利ですが、生物毒性が強いため非常に想定しにくいものになります。例えば、本文III-26に記載した通り、臓器に対する有効性を報告した21st CM(III-26フェイの脚注を参照)による腎臓のガラス化例を取っても、使われている凍害防御剤M22は、DMSO-Formamide-Ethylene glycolをベースに、各種市販ice blockerなどを添加した極性溶媒系です。(ただし、凍害防御剤としてのトータル濃度は9.3M (64.8% w/v) に達し、扱い難いことや、少なからず凍結障害が報告されています)。もし、有機溶媒のようなものをベースにするとなれば、たとえ脳実質に入ったとしても、次のW-02でもご指摘を頂いた通り、解凍後にインタクトな組織状態を保つことは非常に難しいと思われます。 凍害防御剤の開発においては、本文III-23にも記載した通り、低温生物学の成果を取り入れるべきであり、長い生物進化で残った天然の凍害防御物質を利用すべきです。強い凍結乾燥耐性を持ったクマムシのような生物の例はご存知かと思いますが、トレハロースのような二糖類やLEAという特殊なタンパク質を使ってクリプトビオシスに入ります。重要なのはそのメカニズムであって、LEAタンパク質がトレハロースと協調しながら、ガラス状態へと導いていくのです。このような例はネムリユスリカ、ネマトーダ、イワヒバなど、極限環境を生き延びる生物に共通した特徴です。さらに、これらの生物で相乗的に働く不凍蛋白質(AFP)や不凍糖蛋白質(AFGP)も大きな役割を果たしています。こうした知見を過小評価せず、積極的に研究に取り入れていかなければなりません。従って、将来画期的な脂溶性溶媒が開発されない限り、凍害防御剤としては、やはり極性溶媒系が主力になっていくと思われます。

さて、そこでハッシー様の最初の御指摘である、BBBへの極性溶媒の通過性が低いため効率が悪くなるのではないかという点ですが、クライオニクス処理では、そもそも死後に灌流を行うため、トランスポーターやら能動輸送系はもちろんのこと、細胞膜を介した受動的透過性であっても大幅な低下が見込まれます。亡くなられた後にただちに体温を冷やし、低温域でなおかつ極めて迅速な灌流置換を施す必要性が死活問題となる場合に、BBBの通過性などは副次的な課題になると思われます。現在の灌流装置は血管系に挿入されるよう設計されていますが、脳実質だけの凍結保存に限るならば、脳脊髄液(CSF)経由の同時導入も検討すべきです。例えば、ラット側脳質に適当な染色液を注入してみれば明らかですが、瞬く間に中心部や底部にある脳室内に広がっていきますので、BBBを経由せずとも凍害防御剤を脳内のCSF中に充塡させることができるでしょう。脳のような実質の詰まった組織においては、こうした工夫で、当初の目的はある程度達成されるはずです。今、必要なことはこうしたアイデアを実際に動物実験などで技術確立していくことであり、理念としてのDe・DNAプロジェクトを具現化していく次のステップこそが、最も肝要ではないかと思います。

 
 W-02 
 [投稿者 ハッシー様]

「クライオニクス論」の「Ⅲ-21」に、氷晶による損傷に関しての記述があります。この損傷を防ぐための凍害防御剤ですが、より深刻な「生体分子の高次構造の変化」という問題が凍害防御剤により発生してくる可能性について考えてみたいと思います。

(1)凍害防御剤には水以外の溶媒が含まれるので、これによりタンパク質が変性する可能性があります。毒性が低い溶媒を使用しても、溶液全体の極性を変えてしまうほどの量があると危険です。例えば、タンパク質を含む水溶液に多量のエタノールを加えると、タンパク質の高次構造が変化して沈澱します。そして、変質したタンパク質は元には戻りません。同様の変性が、凍害防御剤の使用でも起こり得ると思います。特に脳細胞での氷晶の成長阻害のためには血液脳関門を透過できる脂溶性の成分の使用が想定されますが、この場合はより重大な変性が起こると思います。また、脳細胞はリン脂質を多く含みますが、このリン脂質からなる二重膜も、凍害防御剤により影響を受けると予想されます。 基本的に、体内に水以外の溶媒が入るのは危険なことである点と、脳が有機溶媒に最も弱い器官である点を考慮すると、凍害防御剤の使用には相当な潜在的リスクがあると思います。また、「氷晶による損傷の修復」を「粉々に砕けた花瓶を元に戻すこと」に例えるならば、「生体分子の高次構造の変化の修復」は「ゆで玉子を生玉子に戻すこと」に例えることができると思います。将来的な技術によっても、後者の方がより解決が困難な問題に思えます。

(2)凍害防御剤の使用は検討を続けるべきだと思いますが、冷凍機器の技術的な進歩により問題を解決する方法もあると思います。近年注目されている過冷却現象を利用した急速冷凍などがクライオニクスに応用可能であれば、凍害防御剤を使用しない、もしくは局所的な使用に限定する(血管内のみ置換)などの選択肢もあると思いますが、いかがでしょうか。
 [投稿者 清永怜信]

ハッシー様、凍害防御剤の使用による潜在的リスクに関する有意義な御投稿ありがとうございます。氷晶形成を防ぐために加える凍害防御剤の使用が、脳のような生体組織の高次構造の変化をもたらし、解凍後の修復がより困難な状況を作り出すのではないか、また、過冷却現象を利用した急速冷凍法の利用によって、凍害防御剤の使用を不要あるいは限定できるのではないかというご指摘です。以下は清永の私見です。誤りがあれば御指摘下さい。

まず、凍害防御剤による組織変性の件ですが、蛋白質の不可逆な変性をもたらしてしまうような溶媒系を使用すれば、当然、修復は困難になると思います。このため、現在のクライオニクス処理で使用する凍害防御剤には、まず何よりも生物毒性の低い溶媒系が選択されており、そのための改良が日夜なされているわけです。脳の凍結保存に限っては、必ずしも非極性溶媒に依存しなくてもよいという可能性があります。これらの議論については、W-01とも重なりますので、そちらに書かせて頂いたコメントをご覧下さい。

次に、凍結防御剤によらず、冷凍機器の技術革新によって問題を解決するというご指摘には全く賛成致します。むしろ、冷凍庫というものは冷媒を循環させ、その気化熱によって冷却させるという昔ながらのブラストチラー方式から何も変わっていないわけです。もし、画期的な冷却原理が発見されれば、クライオニクスの青写真は大きく変わってくると思います。例えば、分子運動を抑える技術はないのか、凍結は大気圧下だけ考えればよいのか、乾燥により自由水を低減できないのか、そもそも超低温は必要なのか云々。ここでは物理学者や工学者の支援も必要になってくるでしょう。
ハッシー様が取り上げられた近年注目されている過冷却現象を利用した急速冷凍技術についてですが、1つ気になる点は、それがどのような仕組みであれ、過冷却凍結を行った場合、起きていることは水の結晶化であり、過冷却状態によって瞬時に凍らせることから微細な氷晶形成を生み出すに過ぎないということです。

本文のⅢ-24〜25にも詳しく記載した通り、「クライオニクスの成否の鍵は、生命の根幹物質である水の取扱い方にある」と思います。つまり、細胞内で氷晶が生じれば、水分子による水素結合のマクロな構造化によって、その時点で細胞小器官などへのダメージは致命的になります。従って、断裂や失透という問題が残るものの、「氷晶そのものを作らせず、非晶質のガラス状態として凍らせる」ことが優先すべき技術的課題ではないかと考えます。もちろん、あらゆる可能性を最初から排除せず、挑戦し続けることこそが最も本質的であることは言うまでもありません。今はとにかく試行錯誤でもこうした基礎研究を一歩ずつ前に進める環境を整えることが何よりも大切だと思います。


 W-02 
 [投稿者 ハッシー様]

「クライオニクス論」の「Ⅲ-24~25」にある「クライオニクスの成否の鍵が水分子の取り扱いにある」という記述についての質問ですが、水分子が氷晶に置き換わることによる損傷以外にも重視しなくてはいけない問題があるのではないでしょうか。また、「Ⅲ-28」には、生体外での実験ではガラス化の技術は脳組織の保存にも有効であると記述があります。しかしながら、実際のクライオニクスでの使用を想定した場合は、以前に投稿しました「血液脳関門に対する凍結防御剤の透過性の問題」があります(スレッドW-01参照)。脳細胞まで到達しているか不明で、ガラス化についてもその有効性が不確定なまま処理を行うため、他の重要な問題が未解決のまま放置される危険性があると思いますが、いかがでしょうか。

米国内のクライオニクス団体では、氷晶による損傷の回避のために「ガラス化」の処置が行われていますが、氷晶による損傷の問題以外にも、酸欠による脳細胞の壊死や凍害防御剤の使用による生体分子の変質の問題など、他にも重視しなくてはいけない問題があるのではないかと思います。例えば、液体窒素で冷却するまでの時間的な長さによる酸欠、それに起因する脳細胞の壊死の問題です。脳は酸欠に弱い器官であり、心肺停止により脳に酸素が送られない状態が3 ~4 分も続けば回復されない重い後遺症が残ると一般的に言われています。このような時間的な尺度に対して、凍害防御剤の灌流を実施する施設に移動するまでの時間や、実際の作業に必要な時間は長すぎると予想されます。

つまり、以前にも指摘した凍害防御剤の有害性に関する問題です。凍害防御剤に含まれるエチレングリコールやDMSO等の成分には毒性があります。また凍害防御剤は水よりも極性の低い成分を多量に含むため生体分子の高次構造を変化させてしまう可能性もあります(スレッドW-02参照)。この2つの問題は、氷晶の生成の問題に比較して決して軽微とは言えず、将来的な科学技術によっても解決できない不可逆な損傷を残す危険性があるのではないでしょうか。
 [投稿者 清永怜信]

貴重な御意見ありがとうございます。凍結による氷晶形成以外にも重視すべき点があるのではないかというご指摘です。具体的には、ガラス化の誘導に何らかの凍害防御剤を用いなければならず、その凍害防御剤自体の生体毒性の問題と、ガラス化処理時間中に、肝心の脳細胞が壊死してしまうのではないかという危険性を提起されています。

現時点でクライオニクス技術というものが一義的には決まっていないので、なかなかお答えしづらい問題ではあります。あくまで、現時点での回答となりますが、凍結による水分子の氷晶形成はやはり致命的だと考えられます。このため米国のクライオニクス団体はガラス化処理の努力を続けているわけです。この点については、同じスレッドW-01及びW-02のハッシー様の以前のご質問内容と重複する問題が含まれていますので、そちらの回答もご覧下さい。

ガラス化に必要な凍害防御剤については、もちろんご指摘の通り、生体毒性を持つものが少なくありません。また、疎水性領域が存在していれば、それらの不可逆的な結合によって、高次構造の変性をもたらす場合も十分考えられます。これらの対処方法についてはスレッドW-01の回答にありますのでご覧下さい。クライオニクス論の本文にもない新しい知見も加筆してあります。

もう一つのガラス化の処理時間が長過ぎ、この間に起こる酸欠による脳細胞破壊の問題ですが、通常の体温であれば、ご指摘のように3〜4分で脳は何らかの後遺症を免れ得ず、酸欠の許容時間は長くても10分程度が限界でしょう。しかし、クライオニクスは死後速やかに身体を低温に保持します(本文III-27参照)。このような低温条件下では、酵素などの細胞代謝は著しく低下しますので、分秒を争う事態になりません。

雪山で遭難した人や凍結した湖で溺死したと思われる人が、数時間以上に亘る無酸素状態を乗り越え、後遺症が出ない状態まで回復出来る実例は幾つも報告されています。少なくとも数時間の時間的余裕が与えられれば、近い将来、効果的なガラス化処理が可能になるでしょう(本文III-23〜26参照、スレッドW-01回答参照)。むしろ、チャレンジングな問題は、解凍時の再灌流で受ける酸化ストレスに対してどのように対処するかの方です。これは凍結保存中の機械的破壊の問題と並ぶ難問題ですが、議論はまた改めたいと思います。

 
 W-02 
 [投稿者 ハッシー様]

「クライオニクス論」の「Ⅲ-27」に記述がある凍結保存の方法は、ガラス化処理を強調されていますが、それ以外にも選択肢があるのではないでしょうか。つまり、凍害防御剤によるガラス化のほか、もっと効率のよい新しい冷凍技術の開発は考えられないでしょうか。日本国内でのクライオニクスの普及を考えた場合、海外での「ガラス化」を主体とする処置法を模倣することが常に最善とは限らず、「新しい冷凍技術」による新規な保存法の選択もあるのではないかと思います。

近年の日本国内の冷凍技術の進歩は著しく、過冷却現象を利用した急速冷凍に代表される医療分野にも応用可能なレベルの技術も開発されています。このような新しい冷凍技術が臓器移植にも使用できるようになれば、必然的にクライオニクスへの応用の可能性も開けると予想されます。氷晶による細胞の損傷の問題を、冷凍技術の発展により解決できるのであれば、生体分子を変質させる有機溶媒を含む凍害防御剤を使用する必要性はなくなり、また灌流の処置も省けるので時間的な問題も軽減されます。人体で有機溶媒に最も弱い器官は脳ですが、その中でも特に有機溶媒に弱い組織が大脳皮質です。また同様に、酸欠に最も弱い器官も脳で、その中でも大脳皮質は酸欠に特に弱い組織です。凍害防御剤中の有機溶媒の問題と処置時の酸欠の問題が解決されることは、特に大脳皮質の保護において価値が大きいと思います。

脳での精神的な高次機能を司るのが大脳皮質である点を考えると、大脳皮質に修復不可能な損傷を残してはクライオニクスの目的が達成されたとは言えませんし、蘇生時に再生医療により大脳皮質を再構築するのであれば、それは既に脱DNAではないと思います。日本の冷凍技術は今後も更に発展していくと考えられますが、米国内のクライオニクス団体は既に凍害防御剤の使用を選択しており、日本の冷凍技術に対し客観的な評価を下せるかは疑問が残ります。これに対して日本国内では、「ガラス化」と「新しい冷凍技術」のどちらを処置法の主体とするかを、今から選択する優位性があります。この戦略的に最も重要だと思われる選択について、私達は深く議論するべきだと思います。
 [投稿者 清永怜信]

貴重な御意見ありがとうございます。同時に質問されている同じスレッドW-03の内容とも深く関わってくる問題です。また、過冷却凍結法による新規冷凍技術については、以前のご質問でも取り上げられているようです(スレッドW-02参照)。まず、ご指摘の日本発の過冷却凍結を利用した急速凍結技術については、もちろん存じております。

過冷却凍結法とは、芯温まで氷点下に保持した上で一気に凍結させることで、氷晶成長を進ませず微細な氷が形成されるため、高品質の凍結保存に有効とされ、確かに食品や医療分野に応用されています(ちなみに、脳のような複雑な構造物で、ある程度の容積を持つものを、瞬間的に凍らせることは難しいと思われますが)。もし、この技術をクライオニクスに応用できれば、困難な凍害防御剤の問題やガラス化処理も不要になってくるのではないかというご質問です。清永の考えを書きます。

クライオニクス論の本文III-24〜25にある通り、氷晶形成とは水分子が整然と水素結合で連続した結晶格子です。一方、細胞や組織は生体成分が有機的に配置されたものです。もし氷晶が成長することによって、このような生体ネットワークが分断されれば、解凍したところで、元に戻るはずはありません。実は、氷晶形成が生じないようにすることは、ハッシ―様が想定されているよりはるかに本質的な問題が含まれているのです。

本文III-26にあるネムリユスリカの例は有名ですが、線虫やクマムシのような極限環境生物と呼ばれる生き物を例にとってみると理解しやすいかも知れません。彼らは極度の凍結や乾燥によって、その体がほぼ完全に干からびてしまっても、水に戻してやれば息を吹き返すことのできる不思議な生物たちです。このような芸当が可能なのは、体内が完全にガラス化しているためであることがごく最近になって分かりました。もし体内で水の結晶構造が生じれば、彼らは例外なく死滅します。まさに、脳細胞がインタクトであるためには非晶質であることがキ―なのです。

既にスレッドW-02に回答しましたように、過冷却凍結は微細な氷晶と言えども、実際に氷晶が生成されている点について、注意を払う必要があると思います。先ほどの生物の例ではないですが、ガラス化に失敗して組織に含まれる自由水の大部分が結晶化してしまえば、細胞微細構造を分別なく切断していくいわばマイクロスライサーとなります。これは脳細胞によるネットワーク構造を保存しなければならないクライオニクスにとっては脅威以外の何物でもありません。過冷却凍結法が有効なのは、微細な構造破壊が大きな問題にならないような食材や単純な医療用途などに限られると思います。

従って、ガラス化と過冷却凍結のどちらをクライオニクスの処置法の主体とするかという二択であれば、ガラス化以外に選択肢の余地がありません。ただし、ハッシー様が仰っている新しい冷凍技術を過冷却凍結に限定しない場合は、おおいに賛成です。以前のスレッドW-02の回答にも書きました、分子運動を抑える技術や、乾燥による自由水の低減技術です。生物の持つ耐乾性は原理的に耐凍性と同じメカニズムなので、常温のままガラス化保存する技術が近い将来現れてくると考えられます。そうなれば、ハッシー様が懸念されている凍結防御剤の問題はもちろん、凍結自体が不要になります。

以上、清永の私見を書かせて頂きましたが、確実にこれが正解というものはまだ誰にも分かりません。こうした切り込んだご質問は非常によい問題提起になると思います。ほかの方からも広くご意見をお伺いしたいところです。最後に、「脳での精神的な高次機能を司るのが大脳皮質である点を考えると、大脳皮質に修復不可能な損傷を残してはクライオニクスの目的が達成されたとは言えませんし、蘇生時に再生医療により大脳皮質を再構築するのであれば、それは既に脱DNAではないと思います」には全く賛成です。正確なDe・DNAへのご理解を頂き感謝致します
 




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