「人間の新しい埋葬方法について」


 B-01


[投稿者 アノニマス(一般読者)様]

クライオニクスパートVのV-31に次のような記述がありますが、仮にクライオニクスによって埋葬することが出来ても、未来に復活する望みはあるのでしょうか。
本文V-31より引用
「私たちはDe・DNAとしてユニークな存在であり、「個として生きる」ことを目指すのであれば、個体の尊厳を守る手だてを早急に打つ必要があります。それを端的に表現するならば、クライオニクスによって神経ネットワーク構造を保存したまま埋葬するということです。」....(中略)....「つまり、クライオニクス論とは人間が死んだ後に行われる埋葬方法を根本的に見直すことを提唱するものです。」




[投稿者 清永怜信]

当サイトを開設するまでに届いた一般読者様からの投稿です。議論の輪を広げるためスレッド化しましたが、以下の回答はあくまで清永の現時点における私見であり、議論のための参考にして頂ければ幸いです。皆様からの御意見をお待ち致します。

この質問の多くはクライオニクス技術に対して鵜呑みにはできないとする懐疑的立場から問われることが多いようです。まずクライオニクスがどのように神経ネットワーク構造を保存できるかという、より本質的な問題についてはスレッドTをご覧頂くとして、ここでは、仮にクライオニクス技術が完成したとしても、未来の復活はあるのかという点について考えてみたいと思います。

こちらも結論を先に書くならば、現時点では明確ではないとするのが正直な回答でしょう。では、クライオニクスは絵に描いた餅のような無意味な試みでしょうか。クライオニクス論の真髄とは、宗教が保証した魂の永続性を科学技術によって実行可能な形で示すことにあります。つまり、仮に死後の復活が約束されていないとしても、魂の本体である脳の中の神経ネットワーク構造が保存されている限り、復活への希望は温存されており、まさしく魂の永続性を裏づけることができるのです(V-14参照)。これは死が決して絶対無とは限らないという論理的、実証的な根拠となり、極めて大きい意味を持ちます。私たちが不条理な生を生き抜くために、宗教が信仰によって担ってきた生きるための希望を、科学技術が代行できるか否かが決定的に重要だからです。従って、クライオニクスはこれまで死後の肉体を無碍に破壊してきた埋葬方法の見直しを最終的なアウトプットとして考えているのです。





 U-02



[投稿者 ジン様]

クライオニクス論パートVのV-31〜33に描かれている人間の死と魂の永続性の取り扱いのなかで、私たちが抱く生きる事や死ぬ事への不安を軽減させる「ホスピス」と私たちが魂の永続性を裏付けることができる未来へ旅立つ手助けをする「クライオニクス組織」が提携できるのであれば、私たちの心は救われるかもしれないと思います。これについてはいかがお考えでしょうか。ちなみにクライオニクスの提唱者である、ロバート・エッチンガーさんは、クライオニクス研究所付近のホスピスでお亡くなりになり、その後にクライオニクス研究所で遺体を凍結保存されたそうです。



[投稿者 清永怜信]

ジン様 、スレッドUの「人間の新しい埋葬方法について」に大変貴重な御意見を頂きましてありがとうございます。ご投稿された文章には「ホスピスとの提携について」という小タイトルがつけられていました。ホスピスとの連携はDe・DNA (脱・DNA)プロジェクト委員会でも想定している内容であり、スレッドV−03でも上がりましたクライオニクス事業の在り方にも通じるものです。非常に現実的なご提案であり、さらに他のご意見が多く出てくるようであれば、議論の場を総括的な内容を扱うパート0の方へ移し、新たなスレッドを立てたいと思います。ジン様のご発言を重ねて感謝致します。

現在の高齢化社会では、国民年金の財源にも窮するなか、独居老人の数も増加の一途をたどり、高齢者介護が大変大きな社会的負担となってきています。特に日本の勤労世代人口が減少する逆ピラミッド型の人口構造になってくれば、ますます負担も大きくなります。こうした社会的な要請を受けて、日本でも昨今、介護付き老人ホームの建設ラッシュが全国的に広がってきました。次世代の社会的セーフティネットは、国民一人一人の介護負担をどのように軽減し分担していくかが重要な問題となってくることでしょう。

ご指摘の通り、クライオニクスは、直接人間の死と向き合うリアルな施設であり、いかに覚悟を決めているといえ、カウンセリングやヘルパーなどによる精神的、肉体的サポート体制は必須だと考えられます。このようなQOLサポート体制の確立については、クライオニクスを行う場合、もともと施術上必要となる前処理スタッフが待機しますので、取り組みやすいオプションになるかと思われます。さらに、重度の傷病者の場合には、延命治療を目的としない痛み緩和などの終末医療(ターミナルケア)との提携も十分想定されます。

当委員会では、日本におけるクライオニクス事業の立ち上げにあたり、少なくともこうしたビジョンを進めていくため、例えば、中心部にクライオニクス施設を設置し、周辺部にホスピス的な設備と機能を備えた集合住宅を配置したような構造を想定しています。つまりは、ジン様も恐らく考えておられるような人間の死に際を一手に引き受けるターミナルケアを兼ね備えた統合的施設です。このような次世代型ホスピスが21世紀社会に受け入れられるかどうかは未知数ですが、掲示板をご覧になられている方々からの活発なご意見をお待ちしております。




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