「個の経験情報の保存について」


 D-01
[投稿者 緑川ひかる 様]

個の経験情報を保存していくことはまちがいなく大事だと思います。以前からマインド・アップロードによる経験情報の保存という話題がありますが、マインド・アップロードについてはどのような見解あるいは期待をお持ちでしょうか?
[投稿者 清永怜信]

緑川様、「個の経験情報の保存について」のトピックを御投稿頂きありがとうございます。緑川様もご存知の通り、マインド・アップローディングとは、人間の魂を作り出す脳の中のすべての情報をコンピューターのようなデバイス上に正確かつ安全にコピーする技術のことで、これによりAIシステムの最終形態や、永遠の魂を得るというような解釈がなされているようです。拙著「クライオニクス論」では、個人の経験情報を、あくまで後天的に獲得した神経ネットワークという生体構造に依存したもので、決して切り離すことのできない実体あるもの(バーチャルでないリアルなもの)として想定しています。従って、マインド・アップローディングによって、たとえコンピューターのような電子デバイスに丸ごと正確にコピーされ、コピーされた媒体が永遠の時間を獲得したとしても、コピー元である「私という存在」にとっては全く別物であり、脳の中の神経ネットワーク構造が破壊されれば、「私という存在」は消滅してしまうと捉えています。この認識のもとで、De・DNAのテーマである脳の保存を目的とした「クライオニクス論」へと繋がっていくわけです。このあたりの内容については、本文のパートVにやや詳しい記載(e.g. V-05〜V-06)がありますので、そちらの方もご覧下さい。ただし、マインド・アップローディングの技術が近い将来、私たちの脳の活動を取り出し、生体活動を整えるバイオマ―カ―やセンサーとして機能したり、新しいコミュニケーションツールとして利用されるような使われ方には、ポジティブな可能性を抱いています。いずれにせよ、個の存在とは何かを脅かしかねない興味ある話題だと思います。




part0に戻る