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   さて、科学技術は合理的な人間精神が生み出したものです。そして、人間の生きるモチベーションに繋がる知的好奇心が続く限り、これからも留まることなく進歩を続けるでしょう。しかし、その正しい運用を誤れば人類の存亡にも関わり、次第に人間の手に余るようになることも事実です。今やシンギュラリティの到来も控え、科学の進歩は誰にも止められず、人類を絶滅させることができるほど巨大化してしまったことに注意する必要があるのではないでしょうか。工場から大量に放出される二酸化炭素が世界的な異常気象を招いたり、凶悪なテロリストによって核兵器や細菌兵器が使われれば、ただでは済まされない危険に満ちています。世界中で今日報道される数々の悲惨な事件や出来事は、これらが現実的に起こりうること、決して空想のレベルではないことを示すものです。

   これから先、人類が無事に生き延びるためにも、科学技術の使い手である、私たち自身の問題が大きくクローズ・アップされるようになるでしょう。現代のような不安な時代だからこそ、人間の心の問題はいつにもなく大切になってくるように思います。もし、科学を正しく運用していかなければならない人間自身が不安や絶望に苦しんでいるとしたら、そして、それを救い出すべき宗教の力が損なわれつつあるとしたら、私たちの未来は深刻な脅威のもとに曝されることになるでしょう。

   では、現代において、いったい何が私たちの魂を不安や絶望から救いだし、苦悩の多い人生を生き抜いていくだけの勇気を与えてくれるのでしょうか。私たちに必要なことは、どのように救いを求めるのか、いま一度真剣になって考え、生きる希望を見出すことではないでしょうか。これまで宗教が成し遂げてきた、人間の魂を鎮めるという重要な役割が次第に損なわれつつあるのなら、私たちは現代的な方法で宗教に代わる役割を早急に確立する必要があるでしょう。脱・DNAプロジェクトでは、宗教の権威が総じて失墜していくなか、私たちが感じる不安の根源である死の問題に対して、現代の科学技術は何ができるのかを考えていきます。また、そのための具体的な方策として、死に対する捉え方を根本から変革しうる先端科学技術であるクライオニクスの研究推進、及びターミナルケアを含む実用的なクライオニクス事業の実現を目指しているのです。





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